Napの考えること2025(その141)「個のスパイス」
いまどき辞書をひっぱりだして、物事のあれやこれやを調べる人間はどれくらいいるのだろうか? と、ふと考えます。なんでもスマホで検索すればすぐ出ますし、写真を撮るだけでこの花はなんという名前? ってのもすぐ分かってしまう。なんと便利な時代なのだと誰もが思う今日この頃(というか、かなり前からですね!)。
そして当然に、音楽も然りですね。聴きたい音楽はヒット曲はもちろんのこと、かなりの時代を遡っても聴けますし、そうこうするうちに、AIがその人の音楽的趣向を学習して、勝手にプレイリストもつくってくれる。
シチュエーション別でゆっくりしたい、気分を上げたい、ダウナーな気分を癒やしたい等々、十二分に様々な環境を考慮にしたプレイリストも日々再構築され、それはそれはものすごいスピードで進化を続けています。
もはや、アニメ、漫画や小説のみならず、音楽もAIを利用すればそれなりに、いや、想定以上の出来栄えのものができる時代。さらに、職人技の領域のプロのエンジニアの腕の見せ所であった、ミキシング、マスタリング技術でさえ、AIによってあっという間に、それなりの音まで仕上げることが可能になった。
日頃ライブハウスで出会うミュージシャンとの会話の中でもときどき、そんな話を断片的に耳にするのですが、それこそたった二、三ヶ月くらいで大きく様変わりするほどAI技術は進歩を遂げるので驚くばかり。
ただ、歌づくりに限って思うことですが。一旦、AIを駆使して音楽制作を始めたりしたら、ガラッと自分の根本的な創作意欲は違ったものになってしまうのでは? と思ってしまいます。もちろんこれはあくまでも個人的な感想ですが。
そこに手をつけた途端、これまで創作し続けてきた音楽世界の未来がすっかり変わり果ててしまう予感がします。
もちろん、僕自身も、AIにまったく関わりなく現状でいるかといえば、そうではなくて、ハードウエアーからソフトウエアに移行することで、便利なプラグアプリケーションが増えてとても重宝しています。
様々なシミュレーションを試すことも簡単にできますし、音の比較も速やかにできることでだいぶ時間効率が上がってきました。その分、作曲に時間を割くことができるのはかなり嬉しいことです。
AIを導入して根本的な曲作り、編曲、作詞にも利用したらその便利さから逃れられるなくなりそうな気がしますし、時間をかけて曲作りをするのがもどかしくなるかもしれない。自分の個性や想像性も廃れていくのでは? とさえ想像します。
だからいまのところどれだけ時間を経ようと、出来上がったものが、考えるレベルに達していないとしても、またその次に向けてトライするだけ。そうやって続けるほうが楽しいかなと思ったりします。
といはいえ、60年代にデビューした、ビートルズだって、古い曲からのインスピレーションを受けて、ピカピカの新曲を生み出し続けたように、ゼロからの新しい歌などは実際にはないのかもしれません。
しかし、その作り方は、インプットされた好きな歌をポールやジョンのような稀有な才能を持って生まれた者は、その人だけが持つ、「個のスパイス」を振りかけ、時代を先取るような、これまでに聞いたことのないメロディーと詩にマジックのように変え、新しい時代の音楽として奏でてみせてくれました!
なんだか、勝手に熱く長く語ってしまいましたが・・・(苦笑)。
たかが音楽、されど自分にとっては人生そのもの、という人間が集まるライブハウスに関わる人間として、どうにも、すっきりしない、AI関わりの音楽世界のこれからの未来はどうなるのかな~、と思うことが多々ありまして、つい、くどくなってしまいました・・・笑笑。
さて、今年も1ヶ月強となりましたね。インフルエンザの流行や、2季という言葉もでるほど、もはや秋もなく、気がついたら冬が外を陣取っているようです! 皆様もご自愛ください。そして年末に向かってできるだけ健やかに過ごせますようにと祈ります。
お時間が許す時はNapで個性豊かなアマチュアだけが奏でられる音楽の世界を堪能していただきたく願います。ぜひ足をお運びください。ライブはやはり生音を肌で、耳で感じながら観るのが一番ですよ!!!
これからもよろしくお願い申し上げます。
2025年11月21日 白楽Nap代表 竹村龍彦