2021年1月23日土曜日

 アーカイブ

Napの考えること2019(#91-#104)





考えること(その104)「スーパー職人」



人間の骨は5年ほどで新しいものになるそうですが、考えてみましたら、Napの機材もほぼ新しく変わっていることに気づきました。


18年も経ち音響だけでなく、店内の建具や空調設備等々も適宜メンテナンスをしてきましたが、Napにはスーパー職人さんが二人おられます。


その一人は音響関連でいつも適切なアドバイスをくださる、Kさん。そしてもうひとりは、Napの開店から経験豊かな技術とセンスをもって、あっという間に速やかになんでも解決してくださる、スーパー大工さんの、Aさん!


そんな二人のスーパー職人さんのおかげで Napは理想のカタチをこれまで長くキープすることができていると感謝しています。いつもありがとうございます! Napはつくづくも人にも恵まれてきた店だなと感謝の気持ちでいっぱいです。


さて、2019年もあと1日となりました。今年は自然災害が多くて国内どこもかしこも何らかの被害がありました。


まだまだ復旧できずに不安な中、新年を迎える方もたくさんいらっしゃると思うと胸がいたみます。1日も早い復旧を心から祈ります。


悲しいこと、苦しいこと、憤るようなことも毎年ありますが、良いことや楽しいこと、嬉しいことも数えれば今年も沢山ありました。それを数えながら新年を迎えたいと思っています!


2019年もたくさんの皆様がご出演くださいました。そしてご来店くださいましたお客様にも改めて感謝申し上げます。


インフルエンザや風邪など、手洗いやうがい等々しつつ皆様もご自愛くださいませ。

来年が皆様にとって更なる良い年でありますように!!

2019.12/30 Nap代表 竹村龍彦 スタッフ一同。







考えること(その103)「仕事冥利」



来年の東京オリンピックではここ横浜日吉にある、慶應義塾大学が英国代表チームの事前キャンプをホストとして受け入れるそうです。そのせいかどうか、最近はよく外国の方を街に見かける気がいたします。


そしてまた、新しい駅(すでに開通した駅もありますね。)もいくつかできるようで、日吉へのアクセスも増えることでしょうし、ますます活気のある街になりそうな予感です。


さて、今年もあと1ヶ月を切りました。今日は暖かですが、昨日は雨風が激しかったりでジェットコースターのような毎日ですね。どうか皆様も体調管理にはお気をつけくださいませ。


毎年この時期に感じてしまうのが、何かをやり残した感、です。Napは2001年12月生まれなので、開店から18年となりますが、この18年間には多くのライブハウスが生まれました。その中でNapも他の店同様に「Napらしさとは何ぞや」、を追求してきたつもりです。


毎年、世の中の空気も微妙に変化を遂げていることを感じます。テクノロジーの発達の影響も多いと思います。その中でNapも自然と変化した部分もありました。しかし、原点だけはこれからも忘れないように心がけたいものです。


その原点は何と問われたら、その真ん中にあるものは、音楽で自分が救われたように、音楽で誰かの心を揺り動かしたい、楽しませたい、という思いを持ったアーティストに出会える場所にしたい、ということです。


ステージに立つミュージシャンから、希望や勇気をもらう瞬間があります。時に立ち止まり、自信を失い、気持ちが滅入ったりする時、そんな時に限って、ライブのパフォーマンスに触れて、やはり音楽は素晴らしいもんなんだなあー、と感じ入る時があります。仕事冥利と思える瞬間です。


また、時に音楽を奏でることと、聴くこととの感性は別個のものではないかと考えることもあります。ただ単に音楽が好きだからだけではステージに立ち続けることはむつかしいものです。


理屈抜きの「心の叫び」がそこにあって、その中心に据えられた、音楽を一緒に楽しみたい、この気持ちを伝えたい、そんな音楽にこそ本当に人の心を動かす力が備わっているのかもしれません。


だからこそ。単に歌がうまい、演奏が良い、楽曲の完成度が高い等々の問いだけでは決して測れない、そのアーティストの音楽への向き合い方に共感できるような、そんな感性を手に入れ、輝く光(今夜の三日月のような!)のように磨いていけたらと願っています。


自分だけが持つフィルターを通して、自分の中の奥にしまってある真実な言葉をたくさんちりばめ、ベタな言葉でもいいから自分の中にある「愛」のある言葉に寄り添うメロディを掘り起こしたい。そんなミュージシャンにこれからもたくさん出会えたら幸せです!


残り1ヶ月弱。どうぞお時間が許す限り、Napへも足をお運びください。真剣に音楽と格闘しているミュージシャンにきっと出会えるはずです。


そしてまたこうして18年目を皆様とともに迎えられることに心より感謝申し上げます。素敵な年末と新年を迎えられることを祈りつつ。

2019.12.3 Nap代表 竹村龍彦







考えること(その102)「音楽人」



たった一人でもいいからその歌が届いたならそれでもう充分だ。と、書けば異論が飛び交うこと請け合いだが、先日、某アーティストと話しながら僕は心の中でそんなことをふと思っていた。


そもそも歌をつくり始めるきっかけは人それぞれだから、例えばコードを少し覚えたら何だか曲ができていた、という人もあれば、好きなあの娘のことを想ってつくったのが手始め、ということもよくある話。


シンガーソングライターとして数年も歌い続けると、曲もそこそこに増え、目指す目標にも散々ぶつかって、ある時期に到達すると、さあてと、これから何のために歌をつくるか、なんてことだってある。そんなときタイミング悪く、誰かにあなたのモチベーションって何? なんて聞かれたらきっと僕は答えられない。


家に帰って、そうねえーオレって何をきっかけに音楽を始めたっけ? なんて考え出し始めたらすぐさま宇宙に飛んでいってブラックホールに突入してしまう。常に変化している日常に自分の思考も同じく変化し続け、もはや原点などというものは、火星よりもさらに遠くの距離に置かれている感がある。


プロになるために商業的な音楽をつくりたいと願ったこともあるだろうし、純粋にアーティスティックに音楽を追求したことだってあるかもしれない。そんなミュージシャンは多い。多種多様な芸術の中で音楽を選んだ人々。というか、そこに魅せられた人々。一つ言えるとしたら、むしろ考えるべきことは、今の自分にとって音楽はどの位置に存在しているのか、ではないか。


最初の話に戻るが、たった一人の人間に褒められることの喜び。これもきっと誰しもが一度や二度は経験していることだろう。その時に、相手がお世辞含めて言ったかどうかは別として、音楽を通じて交換した言葉であることに意味があると思う。さらに自分のつくったものが本当に誰かの心を揺さぶったとしたら十二分に歌をつくった意味は大きい。その喜びを感じられたならミュージシャン冥利に尽きるはずだ。


閑話休題。


台風で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。1日も早く日常を取り戻せることを祈ります。


2019.10/26 Nap代表 竹村龍彦





考えること(その101)「想像力」



普段は車での移動が中心の生活ゆえ、たまにバスや電車に乗るとある意味、新鮮な気分を味わうことがあります。昨日は蒸し暑い夕暮れ時にバスに揺られながら、怒涛のごとく人があふれる横浜駅に向かいました。


せわしく歩くサラリーマン風の人、のらりくらり歩く学生たち、荷物を抱えた老人等々。ひっきりなしに人が行き交う賑やかな地下街を分け入りながら、新しく据えたばかりのエレベーターを上ったり下ったりしながらやっとJRの改札口を通る。それだけでもうけっこうなストレスでした。


ようやく駅のプラットホームに立つと今度は目の前を小さな男の子がせわしなく小走りしている。母親らしき隣の女性は無関心。ここはガードのない線路だから危なっかしくてしょうがない。ここでまた小さなストレスがプラス。


やがて思ってたよりも空いていた車両が近づいて来て少し安堵。順番を待ってゆっくりと乗車し、ドア付近の吊り革につかまり夕闇迫る窓をぼんやり眺めていたら、ふと思いました。


そうだよなー。こうやってみんなライブハウスに来ているのだと。満員の電車ならなおさらにたいへんだ。大切なギターもぶつけられないようにと気も使うだろうし、場所を取る分、人の目も気になることだろう。


やっと駅に着いて、ギター背負って(持って)商店街を抜け、店の急な階段を降り、扉を開けたら、やっとギターを置ける。そしてリハーサル出番を待ちながら準備。


緊張の面持ちでサウンドチェックを終えて、オープンまでの少しばかりの時間を利用して、ご飯したり、一服したりしつつ本番を待つ。


開場した後は、楽屋やホールで立ったり座ったりしては、お誘いしたお客さんは来るかな? あの歌は上手くいくかな? なんて考えながらそわそわなんかもするかもしれない。そうやって、自分の大切な時間をここNapで過ごすアーティスト。そんなこんなが頭をよぎった。


想像力ぜんぜん足りてないなあ、と。初心忘れるべからず、という言葉があるけれど、自分も歌い手として何度も経験していながらつい忘れてしまっている。もっと深い意味での想像力。もっと広い意味での想像力。それが何事にも一番に必要なもの。そう改めて考えさせられる一日でした。


さてさて。先だっての台風ではたくさんの被害がありました。特に千葉を中心に停電を含め甚大な被害がまだ続いているようです。一日も早い復旧を心から祈ります。


こんな時代だからこそ、せめてライブハウスの空間では平和を感じたいものです。音楽を通して、そのような空気をつくれたならと願います。季節の変わり目の今日この頃、皆様もご自愛ください。そしてこれからもよろしくお願い申し上げます。


2019.9/12 今日は少し秋の風を感じましたね。Nap代表 竹村龍彦







考えること(その100)「塵も積もれば」



このコラムも100回目となりまして、つらつらと書いてきましたが、塵も積もれば山となる、ですね。これまで読んでくださった皆様に心より感謝申し上げます。


さて、個人的なお話で恐縮ですが。久しぶりに、ここ一ヶ月ほど、新曲を書こうと奮闘していました。がしかし、ライブが近づくにつれて、早く完成させねばと焦る気持ちが邪魔をして、どうにもカタチにならない悶々とした日々を過ごしております(笑笑)。


気分直しに昔の曲や自分でも納得している曲などを弾いて気持ちを切り替えながら、また新曲にトライしつつ、ここが踏ん張りどころだ、と気合を入れ直すのですが、そう易々とはいかないものですね。


曲づくりでおもしろいと思うのは、簡単にパッとできる時もあれば、このように時間がかかったとしても完成度の高さはこれに必ずしも比例しないという不思議です。


スティーヴジョブズという方はいつも歩きながらアイデアを練っていたと何かで読みました。メロディも何気なく歩いている時や車に乗っている時など、すぐに記録できない時に限って浮かんでくるものです。


そうこうしながらもなんとか完成したいと思うのは、次の新しい自分の何かを掘り当てたい気持ちや過去の自分の曲にはなかった新しいオリジナリティを生み出したいと願うからでしょうか。


そうやって新たな曲づくりにトライすることは、この混沌とした世界でピュアな気持ちを持って向き合える作業の一つといえるかもしれません。


閑話休題。


いよいよ暑い夏が来そうですね。どんよりとした天気もそろそろ終わりが見えてきました。しかし、暑すぎず、サラッとした夏を期待したいものです。


ぜひここ日吉Napでもライブをお楽しみください。たくさんの方の真剣なパフォーマンスが待っております。この夏もよろしくお願い申し上げます!!

2019.7/19 Nap代表 竹村龍彦







考えること(その99)「雨模様、晴れ模様」



一昨日は、「ああ、夢で良かったぜ・・・。」という朝でした。起きてしばらくは朧げに内容を覚えてましたが、すぐに忘れてしまいました。そして今朝、また違うシチュエーションで同じような夢を見ました。


そんなことが続く時は大抵、いろんな出来事に振り回されそうになっている時で、よーく整理してみたら、さほど大したことでもないはずのに、先の先まで考え過ぎ、結果、知らず知らずのうちにピラミッドのごとく高く積み上げてしまっている。


幾つになっても本来の持って生まれた自分の性分というのが下地にあるようで、自分を律し生きているつもりでも、夢の中の自分までは制御できない。そんな当たり前の事実に思わずゾッとした朝でした(苦笑)。


しかし、夢とはいえ、それも自分であることに変わりないのですから、もっと気を引き締めなさいと言われている気がしないでもない。そうポジィティブに最近は考えることにしています。


体を動かすことは心に与える影響が大きいと言われるとおり、物を書いたり、絵を描いたり、音楽を奏でたりするのも、心にも良い影響を与えてくれることは感覚として分かります。


だからこそ、心に余裕のない、あまり夢見のよくない日々が続くときは、それを一つの警告と思い、無理くりにでも自分の好きな音楽や映画や本などに触れるようにしよう。そう考える今日この頃です。


さて、梅雨も本格的になり、これからますます天候が不安定になる時期になりました。心の中にだけは雨を降らせないようにと願って(笑)、仕事に精進したく思います。


様々な個性ある音楽に触れることのできるここNapにもぜひ遊びにきてください。これからもよろしくお願い申し上げます!


2019.7/1 雨模様によく似合う音楽を聴きながら(そりゃもうたくさんありますよね!)。 Nap代表 竹村龍彦





考えること(その98)「音楽同好会」



高校に入学して間もない頃、毎朝、教室の一番前の太陽が当たる窓際に立って、持参の手鏡で熱心に髪の手入れをする同級生がいました。彼の髪はとても硬く、しかも縮毛なものだから毎朝学校に着いてから急いでポマードを塗りたくってセットしていたようです。


そのとびきり目立った格好や仕草に最初のうちこそ、クラスの皆んながからかってましたが、毎朝見られるその光景には、もはや誰も興味を持たなくなりました。


当時、ぼくの席はちょうど前の方だったので自然と彼と話す機会が多くなって、お互いフォークギターを持っていたこともあり、やがて音楽同好会というサークルに入りました。


それからの毎日は昼休み、放課後はもちろんのこと、授業の合間の短い休憩時間も惜しんで小さな部室で、ギターをかき鳴らし、流行りの曲やオリジナルの練習をする日々でした。


高校卒業後、彼が迷わず美容師への道に進むことを知った時、毎朝、始業時間ギリギリまで自分の髪と格闘していた姿を思い出しては、よくぞまあピッタリな職業を見つけたもんのだ、と感心したものです。


彼のようにピッタリとはいきませんでしたが、こうしていま好きな音楽に囲まれ仕事をしている自分もまた幸運に思います。何より毎日が自然な心持ちでいられること。そのことに心から感謝しています。


だからこそ幾つになっても音楽が大好きだと言えるような自分でありたいし、理屈でなくいつまでも感性で音楽を楽しみたい。その気持ちをずっと持ち続けながら仕事に向き合っていけたらと願います。


さてさて。陽射しも強くなり1日ごとに日も長くなってきましたね。皆様もお身体を大切にご自愛ください。これからも日吉Napで音楽を楽しんでください!!



2019.6/17 約6年ぶりの、VAMPIRE WEEKENDの新譜「FATHER OF THE BRIDE」を聴きながら。今作も抜群に素晴らしいです!!Nap代表 竹村龍彦






考えること(その97)「ステージ」



つい先日、久しぶりに某老舗のライブハウスに行ってきました。たぶん、その場所を訪れたのは10年以上ぶりくらいになるかもしれません。


以外にも雰囲気も店内も最初の印象からあまり変わりなかったのですが、肝心要のお目当のアーティストのパフォーマンスは一生懸命さがよく伝わる良いライブでした。


普段、Napでリハから本番まで何度もそのパフォーマンスを観ているはずなのに、この日は自分が客観的にお客さん側として行ったからなのか、歌も演奏もいつも以上に心に響きました。


ライブとは、直訳すれば、生演奏、という意味になりますが、その、生、という言葉の意味の深さをあらためて考えさせられました。


Napには時々、近所に住んでいる方がフリーでご来店されることがあります。ある日その方にお帰りの際お声をかけたところ、そのご夫婦は、アマチュアの方の演奏する姿にご興味があるとおっしゃいました。


その言葉をふとそこで思い出しました。ライブで演奏する曲のクオリティも重要ですが、ステージに立って一生懸命に歌う、わずか30分足らずの関わりであっても、そのアーティストの人生の一部を同じく共有する時間でもあるのだ、と。


額に汗をかき、目を閉じ、真剣に自分の音楽を表現するために演奏しているその姿に僕自身その日とても清々しい気持ちになりました。


今日もまた多くの場所で誰かがライブを繰り広げています。そうやってステージに立ち、一所懸命に歌う姿にきっと何かしら力をもらえる瞬間があるのでしょう。いまさらな話ではありますが、Napでもそのような時間を多くの皆様と過ごせる空間となることを願うばかりです!


天候の定まらない日々がずいぶんと続いておりますが、ぜひお近くにお寄りの際はNapにも足をお運びください。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019.6/13 Nap竹村龍彦







考えること(その96)「作家の三浦綾子さん」



ぼくがずっと尊敬をしている、今は亡き小説家の三浦綾子さんは、幼い頃から本の虫であったらしく、小学五年の時にはすでに長編を書き、当時それを読んだ受け持ちの先生がみんなに読んで聞かせたという。そんなエピソードをある本で今日初めて知りました。


1963年、朝日新聞社が懸賞小説募集した際に入選した「氷点」で一躍有名になった小説家として知っている方も多いと思いますが、小学生の頃にすでにその才能が芽生えていたのかと驚いた。小説家の多くが幼い頃から無類の本好きということは聞いたことがありますが、彼女もやはりそうだったんだな、と合点しました。


昔から無類の音楽好き、というのは確かにミュージシャンにも多い。ぼく自身は本当の意味で夢中になって音楽を聴くようになったのは、中学からだったと思いますが、何と言っても自分のラジオを持ったことが大きいです。しかし生まれ持った才能、というのは一体何だろうかと考えてみました。


Napはライブハウスだから、たくさんのミュージシャンに出会います。歌のうまい人、曲のセンスの良い人、MCの上手な人。それぞれに何かしらの才能を感じることが多いです。そして、そのすべてを兼ね備え、名実ともに売れた方の多くは、言ってみれば、その人だけの音楽ジャンルをつくったとも言えます。


邦楽で言えば、ユーミンこと松任谷由実やサザンオールスターズ、小田和正、さだまさし、尾崎豊、中島みゆき等々、いまでも多くのファンがいる音楽家にはそれぞれの個性がはっきりとあって、決して亜流ではなくってその人だけの言葉やメロディが確かにあるのがわかります。


しかしそこに至るまでの道のりには、生まれ持った才能だけでなく、心底、自分の音楽を追求するために歩んだあろう険しい道のりと、鋼のような根性(例えが古くてスミマセン)があったと想像します。これらは、自分に足りないものは何かと考えた時にいつもぼく自身、到達する事柄でもあります。


ついこの間もテレビで、幼い頃からクラシックの英才教育を受けていた、某氏が、あるきっかけで、アーチェリーにのめり込み、なんとたった四年くらいで、オリンピックに出るまでになった、というような話がありました。


この方ももちろん、その道の才能があったとは思いますが、どれだけの力をそこに注いたかは想像を絶する。誰しもがとっくに気づいていることですが、大なり小なり、名の知られた人間の多くは、皆ただならぬ努力をコツコツと重ねた結果なのだと改めて思うのです。


好きなことだから続けられる、と簡単に言われる時代ですが、好きなことが嫌いになるほどやり抜く強い気持ちを持つことは、決して容易なことではないでしょう。それとは対極の人間のぼくだからこそ、そのような人々をいつも心から尊敬してしまう。いわば応援する側に立つとでもいうのでしょうか。


でも、それも一つの才能といえば才能ですね。ファンあっての音楽でもあるし、スポーツもしかり、先の三浦綾子さんのことも同じです。本を読むたびに、心が元気づけられ、力づけられるのですから。いまでもその名前を冠した本を見かけると、つい新刊かどうかを確かめずはいられません。


大げさに言えば、どんな物事も双方向に連なって、その気になればいつだって知らない世界のすべてを手元に手繰り寄せることだって簡単なのかもしれません。ときに演者側となり、ときにリスナーやファン側になる。この二つの面を、結局ぼく自身もまた持っているのだと思います。


なんだか、とりとめのない文章なってしまいました。恐縮至極です…。


さてさて。今日はほっこりとあたたかな初夏のような日ですね。しかしまだまだ湿っぽい梅雨もやってきます。どうか皆様もご自愛ください。


そして、お近くにお寄りの際は、ぜひNapにも足を運んでくださいませ。たくさんの個性あるミュージシャンに出会えること間違いなしです! これからも宜しくお願い申し上げます。

( 爽やかな風漂う昼下がりにて。2019.5/27 Nap代表 竹村龍彦)





考えること(その95)「感謝を込めて」



無謀にもその昔、竹原ピストルさんにミニインタビューをお願いしたことがある。ちょうど「Fukkouno-HANA2+LIVEbDVD」が発売された頃。手元にあるアルバムジャケットに書いて頂いたサインの日付は、2013.3.13とある。


その頃、Napでは、10minインタビューと称して、レギュラーアーティストの宣伝も兼ねて、質問形式でビデオインタビューをしてYouTubeにあげていた。そんなこともあり、関東ツアーでNapにもご出演くださった際に、ピストルさんに不躾にもお願いしたら、彼は快く応じてくれたのである。


が、しかし、インタビューをはじめてものの数秒で僕は後悔した。もちろん、完全素人のインタビューということもあるが、それ以前に、話を進めるにつけ、なんと自分のものの考え方は世俗的なんだ、と心で唸っていたからだ。そんな僕の稚拙で的外れな質問に彼は、ん・・・と言いながらも、なんとか言葉を探し繋いでくれていた。


おかげでインタビューは一応形にはなったが、終えてすぐ後、「マスター、もうちょっとキャッチボールをしましょうよ!」と例の人懐っこい笑顔と豪快な笑い声で言って、「またやりましょう。リベンジですよ!」と明るく言ってくれたことを今も覚えている。


DVDも含め2枚組のこのアルバムは、ボリュームもたっぷりで、ユーモアや遊び心があり、朗読もあった。タイトルにあるように、東日本大震災における被災者への彼の強い思いを込めたコンセプトアルバムでもある。


だからこそのアルバムの制作過程や、現在のほぼ毎日全国を飛び回りながらの彼の弾き語りライブにおけるエピソード等々たくさんお話を伺いたいと思っていたのだが・・・。何一つうまく聞き出せなかったことを急に、これを書きながら思い出してしまった・・・(苦笑)。


さて、光栄にもここNapからまた始まった、「令和」最初の5・20の「竹原ピストルソロ公演」3年ぶりのNap弾き語りワンマン。今では武道館を始め、大中小のどんなホールでもすぐにソールドアウトになるほどだから、抽選で外れた方からの問い合わせもここ数日間は特に多かった。


久しぶりにお会いした彼はいつもどおりの優しい笑顔で、同じスタンスで、僕らスタッフと接してくれていた。これまたいつもながらのマイペースでリハーサルに挑み、早々にサウンドチェックが終わると、すぐに、「マスターあとは勝手に少しやらせてください」、と新曲の練習やら、代表曲や昔の曲等々、時に確認し、時に本番さながらに歌い、激しくギターを1時間近くかき鳴らすのでした。


その間、僕はPA席でじっと曲ごとのバランスなどをチェックしつつ、この見慣れた光景を見て、やはり彼はアスリートそのものだ! と改めて思った。休憩のちょっとした合間にスタッフが竹原さんに、紅白や武道館などでオメデトウ、が続いてますね、と祝福を伝えたら、「いやいやまだまだです。ぜんぜん納得していません!」というニュアンスの話をされていたと後で聞いた。


「竹原ピストル」という人は常に自分と戦い続けているのだ。テッペンのない、限界を超えていこうとする強い意志を持った一流アスリートそのものだ。誰かと比べることではなく、自分の限界と戦い続ける。自分だけの道を更に切り開こうと全身全霊をかけている。その姿勢も思えば彼は昔から何も変わっていない。この日のリハーサルや本番での姿を見るにつけそう強く感じた。


本番での、野狐禅の時代の「じゅうじか」「カモメ」や、ソロになってからの「オールドルーキー」「よー、そこの若いの」等々を矢継ぎ早に歌っていく彼の唯一無二のあの歌声と機関銃のように抱え弾くギターの音色。あっという間の2時間だった。


前回、2016.6/2に行われた、Napワンマンの際に書いて頂いた、アルバムのサインには、「いつの日か恩返しできるようがんばります!」と書いていた。あれから3年。今回もまた同じようにアルバムにサインをお願いしたところ、そこには、「マスター、またうたわせて下さい!!」と書いていた。僕は思わず微笑んでしまった。


竹原ピストルさん、恩返ししたいのは僕達です。そしてNapのような小さなステージにもまたこうして立ってくれたことに感謝してます。今も昔もあなたは多くの弾き語りアーティストに夢と希望を与えてくださっているのです。


そのことがまるで自分のことのように誇らしく心より嬉しいのです。そんな風に思っている全国津々浦々にあるライブハウス等々の関係者や名も無きミュージシャンはきっと多いことでしょう。皆同じ気持ちに違いありません。またお会いできる日があることを祈ります。そしてこのツアーの成功を心より願っております! 感謝を込めて。

2019.5.23 Nap代表 竹村龍彦 スタッフ一同。





考えること(その94)「竹原ピストル Napワンマン(令和5/20)」



久しぶりに、竹原ピストルさんのワンマン公演が、来月、5/20(月)に決まり、スタッフ一同、今からとても楽しみにしているところです。新元号となる、節目の時にまたNapのステージに登場していただけることをたいへん光栄に思います。


メジャーデビュー前からずっとそのブレない姿勢は、2017年大晦日の紅白初出演でも、2018年12月22日の初武道館(余談ですが、この日がNap17周年でした。)ワンマンでも同じに感じました。ギター一本でどんな場所でも、あの、あぜ道をダンプカーで飛び込んでくるような迫力のある歌と演奏する姿は、まさに唯一無二の弾き語りアーティストだと言えます。


時代が追いつくという言葉がありますが、「竹原ピストル」という存在こそがそれを表しているのではないでしょうか。


現代はすべてがデジタルに囲まれています。当然に音楽の世界にも大きな影響を与えているわけですが、最近の流行歌には、きわどい言葉やインパクトのある言葉が目を引きやすいからなのか、そんな歌がとても多くなった気がいたします。


そんな中、やはり「竹原ピストル」の歌を聞くにつれ、同じインパクトのある言葉であっても、その中心には、常に、「あたたかい眼差し」のようなものがあって、ここそこにそれがちりばめられいることが分かります。その一つをとっても彼が唯一無二の存在感であることを感じてしまいます。


彼の歌には長い時間をかけ耕した畑のように、様々な栄養素のようなものがあって、まるで知らず知らずのうちに効いてくる漢方薬(例えが変ですね、苦笑)のようです。それが聴くものの根っこにある魂を揺さぶってゆくのです。


そしてまた、本当のオリジナリティはすぐには完成できない、けれど、それを諦めずに追求することの大切さも彼は伝えているようにも感じます。


いまも昔もずっと多くのミュージシャンに勇気と力を与えてきた、竹原ピストルさんの久しぶりのNapワンマン公演をぜひ多くの皆様とともに楽しめたらと心から願います。


新しい元号「令和」の最初の5月のとっておきの、「竹原ピストルワンマン」。

日吉Nap共々、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2019.4/15 Nap代表 竹村龍彦・スタッフ一同。





Napの考えること(その93)「春うらら」



RCサクセションのアルバムの三作目「シングル・マン」を久しぶりに聴いた。彼らがやっと世間で認められ始めた頃に、再発売(最初のリリースは1976年4月21日)という形で1980年に出されたアルバム。僕も気になっていてやっと手に入れた一枚でした。


当時、初めて針を落とし聴いた時には、正直、「スローバラード」以外はよくわからなかった。アルバム全体を通してフォーキーさもあり、ソウルもありで、捉えどころがなく、攻撃的、且つ、鬱々としたような忌野清志郎の歌声には鬼気迫るものがあった。


その頃の彼らはロックバンドスタイルになった賑やかでPOPな「RCサクセション」というイメージが自分の中に定着していたせいだろうか。


一方、「甲州街道はもう秋なのさ」等々の、予定調和じゃないコード展開や、彼独自のナチュラルでありながらもラジカルな歌詞には新鮮な驚きがあった。忌野清志郎という人間の一筋縄ではいかない強い個性と才能が溢れ出ていた。


こうしていま改めて聴くと、時代性はもちろん感じるが、音や編曲、演奏、そして独特な彼の歌い方も含め、いまもって新鮮だし、でも、やはりたくさんは売れない気もしないでもない・・・。


が、しかし、ここまで音楽を自由にやりたいようにレコーディングしたメンバーや制作関係者には尊敬と憧れの念を持ってしまう。


その後、忌野清志郎はやがて「タイマーズ」を結成して例のパフォーマンスを繰り広げていくのだが、その伏線はこのアルバムにも多く含まれているとわかる。


音楽の面白さは、このように、時代を経て新たにみえてくる(聴こえてくる)世界があること。そしてそれぞれの人生の来し方によってまったく違う世界が広がるであろうと思うことだ。


そんなふうに自分の音楽を記録に残せたなら幸せなこと。何も彼らのように有名にならずとも、たった一人にでもその想いを届けられたら同じくとても幸せなことです。


実際にその意味に違いはなく、家にいる時にふとした瞬間、頭の中に意図せず流れくる音楽がNapの出演者の歌だった、ということもある。


音楽には大きなフィールドで聴くのによく似合う曲もあるし、ひっそりと個人的にパーソナルなものとして聴くに似合う曲も当然にある。


とどのつまりは、いま自分がリアルタイムで何を表現し、何を伝えたいか。それこそが重要なのだ。この名作、「シングル・マン」にはそんな忌野清志郎の魂の叫びのようなものがたくさん詰め込まれている。


さてもう、春うらら、という言葉が似合うこの頃。日も長くなり、花粉も残念ながら(苦笑)飛び交い、元号も変わるこの年。何かを始めるにいまより遅いことはない、と誰かが言ってましたが、まずは一歩、いや、半歩でもいいから、前に進みたいものですね。


お近くにお寄りの際は、Napにも足を運んでくださいませ。そして、まだNapのステージに立ったことのないミュージシャンの方なら、ぜひ今年にご縁があると嬉しいです! これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019.2/27 Nap竹村





Napの考えること(その92)「エッセンスを!」



元号が変わる2019年。人によってはこれからは西暦だけでいいのに、なんて方もいらして、日本人だけが強く意識する事柄であることにふと気づいた今日この頃です。


さて、それはともかく、もう早、2月になりますね。正月ボケというのも終え、皆様も日常のあれやこれやに揉まれ、すっかり日々忙しい時間を過ごしている頃かと存じます。


Napもレギュラーの方や新人さんなどが出演し、いつもながらの光景が広がり、だいぶ普段どおりの空気を取り戻しつつあります。新春一月のNapのお題は、「Dreams」でしたが、出演者の皆様が歌や今年の抱負を語るのを聞き、あらためて日々それぞれの生活の中で戦いながら音楽を大切にされてるのだなと思った次第です。


ライブを見聞きしながら、具体的に感想をすっと言えるアーティストもいますし、なかなか自分には本人の表現したいものの半分も理解できそうにまだないな・・・、ということも当然あります。どうしても個人的な嗜好がそこには影響を与えていることは否めません。


そこでふと思いました。結局はどの世界でもそこを仕切る代表の人間の個性が強く反映されるのだ、と。とても当たり前なことですが、ひろく言えば、日本も含む世界の国々も然り、小さく構えたこのNapなら尚のはず。その大小にかかわらず、そこを仕切る代表者である少数の人間がその世界の空気を決める大きな要素である、と言うこと。


そんなことに新年早々行き当たった訳ですが。当然に世界のことについてここでは触れることなく(当たり前!)、自分の店であるNapについて考えたいと思います。


「あたたかさ」とは何か。それを中心に据えたいとNapの理想にずっと掲げていますが、なんたって、音楽が要のライブハウスですから、そこに出演するアーティストが主役です。スタッフは裏方。この線引きも大切な一つだと考えています。そして、主役であるアーティストが奏でる音楽。これがNapの個性をつくりだしているわけですね。


去年はずいぶんと新人さんにアプローチしてきました。おそらく、17年で初めてのことです。つまり動画やSNSを通じて、これと思った方にオファーしました。まあどこのブッキング担当者でも普通に行なっていることと思いますが・・・、そのご縁で今年も続けて出演してくださっているアーティストも多々おります。光栄な限りです。


僕が音楽を始めた頃は、完全に能動的でなければライブハウスには出られませんでした。いわゆる完全オーディションのみ。当時は「ぴあ」という雑誌があり、ライブハウス欄にオーディションデイが載っていて、そこに応募して、2曲くらい歌って審査結果を聞く。そんなパターンが多かったと思います。


動画やSNSがあれば現代と同じに、ライブハウス側からのオファーもあったかもしれませんが、当時は圧倒的にハコの数が少ない、イコール、厳しい審査、ということもあったので、人気のハコはそこそこの力と個性がないと出られないので、そこにレギュラーで出演できるだけで小さなプライドが持てた気がいたします。


現代はいわゆる待ちの姿勢(受動的という意味)であってもライブハウス側からどんどん、オファーが来ると聞きます。70年代とは違い、数多くのハコがある現代は当然、運営方法も変わってきました。もちろん、ここNapも例外ではありません。まして昔ながらのノルマ制の場合は、そう簡単に、誘われたからやります! とはいかないことでしょう。


それでもNapのステージに立ち歌いたい。音楽によってここで何かを伝えたい、表現したい、そんな想いを持ったアーティストに応えるために必要なものは何か。それがNapの永遠のテーマでもあり、今年中にはぜひ見つけたいものです(笑)!


うまくまとまらない文章になりましたが(すみません)、ずっと長く出演しているアーティストを観るたびに僕は思うのです。その音楽性のみならず、その音楽に向ける姿勢、そのことこそが自分の胸を打つのだな、と。


歌が上手かったり、曲が良かったり、容姿がステキだったり、それも良いに越したことはありませんが、僕自身はそのことよりも、その方の音楽への姿勢、真剣に自分を前に向かせようとする手段として音楽と格闘している人たち。そこに共感を覚えます。


だから、もしこの文章を読んでくださった方の中に、自分にはまだ実力がない、歌もまだまだだし、どうやらプロにはなれそうにないなあ・・・、などと考えて足踏みしている方がいるなら、Napはそんな基準でステージに立つ、立てない、などとは考えていないことをぜひ知っていただきたいです。


大切なのは真剣に音楽で表現したいことがあるということ。そして、少しでも自分のため、誰かのため、届けたいという気持ちがあって、たった一人だけでもいいから、心から音楽という手段で伝えたい。そう思っている方は勇気を持ってぜひNapにご連絡ください!


そして、その歌や演奏に心から願うのは、ほんの少しでもいいから、光というスパイスをふりかけてほしい。ただ湧き上がる感情だけで創作するのではなく、そこに光を探し、希望というエッセンスを散りばめてほしいと願います。


飾り立てた言葉ではなく、心から自分でそう願い、寄り添う気持ちを持って創作と格闘して完成された音楽はきっと誰かの心だけではなく、自分をも揺りうごかすことになると僕は信じます。それができた時に初めて音楽だけが持ち得るマジックに出会えるのかもしれません。


話が長くなりました。恐縮です。


インフルエンザが流行の兆しの見える今日この頃ですが、温かい飲み物や部屋でゆっくりとした時間も大切にしたいものですね。皆様もご自愛ください。

Napは地下ですのでどこよりも暖かです(笑)。お時間が許す限り足をお運びください。


真剣に音楽に向き合い、楽しもうとしているパフォーマンスを観にきてください。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2019.1/27 太陽の日差しが気持ちの良い日にて。日吉Nap 代表 竹村龍彦


★追記:好評につき、第二弾のフリーライブ、その名も、「Free Live~Napの自由時間(名刺代わりの2、3曲)~)」を、2019年2月11日(祝月)開催することが決定いたしました! ぜひまた多くの方々のご参加、心よりお待ち申し上げます!!

(詳しくは当サイトhttp://www.hiyoshinap.com をご参照くださいませ。)





Napの考えること(その91)「心温まる」



新しい年を迎えました。明けましておめでとうございます。

2019年が皆様にとって平和で穏やかな一年でありますように!!


おかげさまで「Nap」も18年目を迎えます。

今年も心温まる空間づくりと、たくさんのアーティストとお客様をつなぐ場所を目指し精進したく存じます。


今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019.1.1元旦 日吉Nap 代表 竹村・スタッフ一同


★追記:2019年新春1月20日(日)に、「平成最後のNap大新年会 「Free Live~名刺代わりの2、3曲~」を開催いたします。振る舞い酒(無料)もございます。多くの方々のご参加、心よりお待ち申し上げます!!

(詳しくは当サイトhttp://www.hiyoshinap.com をご参照くださいませ。)

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